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人として生きる
私は、35年前より特別養護老人ホームで勤務していた中で、認知症の人に対する社会全体の認識に違和感を抱き、人として援助することの重要性を常に感じていました。認知症であっても安定した気持ちを維持できます。その為には環境整備が、とても大切と考えてきました。また、認知症の人を抱える家族の不安感と、介護に係る肉体的な負担も身に染みて体験してきました。そして2000年の介護保険制度施行を機に、それまでの認知症ケアのあり方は様変わりし、施設職員の介護理念も少なからず、その人を中心においた介護に変化してまいりました。認知症を人格の変貌する特殊な病としてではなく、記憶障害を中心とした症状が本人の社会生活を困難なものにしてしまう要因と理解し、種々の症状や環境因子に働きかけるケアを、柔らかく添えることで心の安定は図ることができます。私はここまでに蓄積してきたスキルと知識を活かした認知症ケアが、広く社会全般にひろがることにより、認知症であっても「人として生きる」ことを可能とする意識が育つと信じています。
以上の観点から、法人の理念に『人として生きる』を掲げ、認知症を抱える人々にフォーマルもインフォーマルも含め、その人の心に寄り添い、人としての尊厳を守る者として、また認知症の人の代弁者として支えていくために新たに社会福祉法人を設立するに至りました。そして私たちの活動が地域の認知症の人と家族の福祉の向上のお役に立てるのではないかと考えております。
認知症となっても自分の思いを大切にし、自分らしく生活できることを目指し、その思いを守る支援を実践してまいります。すべての人に与えられた人生、そして余生を穏やかに、苦痛もなく締めくくれる支援を目指して虹の丘グループホームは活動しています。
理事長玉田 夏美
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